室蘭の病院での忘れられない認知症のおじいちゃん

療養型病床に入院しておられた、おじいちゃんのお話です。

その方は他の施設より来られた方でして、認知症があったんですが、とにかく健脚なんです(笑)
ご家族の話を伺いました所、当初自宅で介護されており、その際行方不明となった事があったそうです。そして、発見された場所というのが、ご自宅より約20km以上もある山中で!!!

発見された経緯は、山の道中でガソリンスタンドを経営しておられる方が、こんな山奥をお爺さんが1人歩いているのを不思議に思い、話しかけたら返答がシドロモドロ。「あれ!?」と思い、ジャージの上着を見てみたら、住所と氏名、電話番号が記された布が縫い付けてあり、ご家族と連絡をとり無事保護されたといった過去がありました。私たちスタッフも、そんな健脚で認知症を患っているおじいちゃんをお迎えしつつ、入院中どっか行っちゃったら!?とドキドキな日々でした。

案の定、そのおじいちゃんの健脚ぶりは凄まじく、病棟内が1周できる造りである為、いつもいつも歩き回っておられました。これがまた疲れ知らずで、ベッドに横になり寝たのかな〜!?と、思いきやまた歩く!そんな状態が昼夜関係なくです。眠剤や安定剤もあまり効いてない感じで(笑)病院の方針として、強い薬を使って寝たきりにさせたり、拘束したりして人としての人権を損なうような事はあまりしたくない、という事で、スタッフは本当大変なんですが、昼間は疲れるよう散歩やリハビリしたり、と自然な看護や介護体制をとっておりました。

そんなある日、事件勃発!朝食を他患者様と終えたおじいちゃんの姿と、徘徊すると分かるようにと、スニーカーにつけていた鈴の音がしないんです。病棟は2階。慌てて院内を探しました。いついなくなったのか、僅かな隙に‥。病院前も見渡す限り姿がありません。警察は「1日待って事件性がない限りは、捜索願出せません」と。こうなったら、私たちスタッフで探すしか術はなく、在宅を回る看護師さんや、通所サービスの送迎をされている運転手さんなど、外回りをされるスタッフにも協力を仰ぎました。室蘭なので、冬でないとはいえ、朝晩は冷え込みます。とにかく早くみつけなくてはとスタッフ一同かなり焦っていました。

時間はこく一刻と過ぎ、事故とかあってないか。途中倒れたりしていないか。不安を抱え夕方となった時、通所サービスの送迎スタッフより連絡が。「○○さん、いたよ〜!」帰って来たその手には、ビニール袋に落ち葉を沢山入れ、ニコニコと笑顔。もうなんか、疲れが吹っ飛び、とにかく無事で安心しました。
発見された場所は、おじいちゃんの住んでいた自宅付近。そこ迄は信号も沢山あり、大きな国道も渡らなくては行けない地域。どうやって行ったのかは、おじいちゃんのみ知る(笑)不思議と身体が覚えているんでしょうかね。

月日が経ち、おじいちゃんは転院し再び私たちの病院へ。その姿は、あの健脚なおじいちゃんはありませんでした。移った先でも健脚ぶりは猛威を振るい、強い薬で動けなくなっておりました。あのとてつもなく大変だった私たちの看護に介護。でも後悔はありませんでした。あの太陽のような笑顔に癒されておりましたから。

看護師として、何度か職場を変えることもありましたが、この時の経験は忘れられません。<看護師 求人 室蘭>